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Channel: webDICE 連載『DICE TALK』
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「熊本城をヒントにしたり、日本の史実にひねりを加えて新たな世界観を作り上げていった」

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映画『47RONIN』より ©Universal Pictures


キアヌ・リーヴスが主演を務め、日本の「忠臣蔵」をベースに、主君の敵を討つために集まった47人の浪士と混血の浪人の闘いを描く『47RONIN』が12月6日(金)より公開される。真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁など日本キャストを迎え完成したこのアクション大作について、カール・リンシュ監督に制作の過程を語ってもらった。




浪人たちの信念を貫きとおす姿は共感してもらえるだろう



── あなたはこれまでCM業界ではカンヌ広告祭などで数々の賞を手にしていますが、本作が初のハリウッド長編映画の監督となります。この映画を撮ろうと思ったきっかけを教えてください。



元々映画を撮る準備はありました。リドリー&トニー・スコットのもとで培った約1,000日間の現場経験があったから監督に挑戦することができました。CMは短い期間で大きな製作費を使って撮りあげるというメディアで、例えば映画はそれが120本撮れるという考え方もできるわけなので、初めての監督業も十分な経験をもって臨むことができたと考えています。




映画『47RONIN』監督

映画『47RONIN』のカール・リンシュ監督



── 数々のドラマや映画が製作されている、この日本人になじみ深い忠臣蔵という題材をいつごろお知りになったのでしょうか?



13歳くらいの時でしょうか、ホルヘ・ルイス・ボルヘスが忠臣蔵を題材にした短編を書いているんです[編集部注:『悪党列伝』(1976年)の中の短編「吉良上野介―傲慢な式部官長」]。これが初めての出会いでしたね。それから1962年の稲垣浩監督の『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』で初めて映像を見て、ジョン・フランケンハイマーの『RONIN』でも触れられていたりと、それで段々興味を持つようになりました。西洋人にとってはこの『RONIN』が一番馴染み深いものだとは思います。





── それを知った時にどう思われましたか?



浪人たちは、勝利を勝ち取るために耐え忍び、討ち入りまでの時間を過ごすわけですけど、侮辱をものともせず自分たちの真の意図というものを隠しながら、人々が忘れたころに復讐の機会を得るんです。そのためにはもちろん勇気も必要だっただろうし、侮蔑にも耐えなくてはいけない、その逆境の中で自分たちの信念を貫きとおす、それがどんなにクレイジーだろうと犯罪者だろうと、僕にとっては何よりも魅力的でしたね。それはとてもパワフルで世界中の方にも共感してもらえるんじゃないかと思ったんです。




映画『47RONIN』サブ1

映画『47RONIN』より ©Universal Pictures



古風ながら新しいファンタジーを創造するための作業



── 他に類を見ない圧巻の映像美でしたね、なにか参考にした文化や作品はあるのでしょうか。



ジョン・マシソン(撮影監督)はグリーンバックで撮るというよりかは現場で撮影したいという古風なタイプなのですが、ファンタジーの中でどういった作品にインスピレーションを受けたか、そういう話はしました。例えばジョン・ブアマン監督の『エクスカリバー』ですとか、その当時の映像を今のテクニックで見せるにはどうすればいいのかなど、たくさん考えもしました。照明についても蛍光は使わず、その時代にある有機的な光を使っています。また美術もヤン・ロールフスが担当していますが、日本の世界観や史実をベースにしながら少しひねりを加えていって、新しいファンタスティックなイマジネーション溢れるものにしました。実際に日本にも取材にいきましたし、吉良城については熊本城をヒントにデザインしていくという作業をしています。CGについても有機的な、実際に触れられそうなものを作りあげるべく、それら全てのものを組み合わせて、皆さんには見たことのない高いクオリティを持った映像をお届けできたのではないかと自負しています。



映画『47RONIN』サブ3

映画『47RONIN』より ©Universal Pictures



── 各日本人キャストがとても役柄にフィットしていると感じました。どのようにキャスティングは行われたのでしょうか。



浅野忠信さんはハリウッド作品にも出演していますが、日本の出演作品を字幕なしで見ていてもその演技は伝わってくる。他のみなさんも同じですね、ほとんどが直観です。田中泯さんなんかはセリフを話す前に決めていましたし、赤西仁さんも同様でした。だから人として自分が何を感じ取ったか、それが決め手となっているんです。真田広之さんの場合は『たそがれ清兵衛』を知ってましたので、ドラマでもアクション面でも素晴らしい俳優だということは十分伝わっていました。西洋ではスタントマンを使うところを、彼はマーシャルアーツというものを自らこなせる方です。ここまで素晴しい方々ならチャンスなのではないかと思いました。



映画『47RONIN』サブ4

映画『47RONIN』より ©Universal Pictures


── 劇中ではキアヌ演じるリクと柴咲コウさんが演じる姫君ミカの愛が描かれているわけですが、監督から見て二人の相性はいかがでしたか。



ふたりのケミストリーは見ていても強く感じることができました。カイは内に秘める気持ちが強くとてもパワフルで獣のようなキャラクターですが、一方ミカはデリケートではあるのだけれど、やはり同じような強さをもっている役柄でもあります。その様はまるで電気が走るような抜群の相性だと伺い取れました。イーストウッドとオードリー・ヘップバーンのラブストーリーのようですね。



映画『47RONIN』サブ5

映画『47RONIN』より ©Universal Pictures


キアヌは存在感や重みを感じさせてくれる唯一無二の役者




── キアヌはどんな俳優ですか。監督の知っている一面があれば教えてください。



浅野さんは音が無くても演技が伝わってくる、と先ほど言いましたけれども、キアヌにも同じようなものを感じます。そしてスクリーンに現れた時には存在感や重みを感じさせてくれる唯一無二の役者だと感じます。本当にイーストウッドくらい素晴らしい役者です。何も言わずに部屋に入ってきても全ての目が彼に向けられる、そういうものを彼は持っています。




── 監督の一番気に入っているシーンはどこですか。



血判状のシーンも気に入っていますけれど、やはり赤西仁さんが演じる大石主税が討ち入りの後にリクと抱擁するシーンでしょうか。子どもであった彼がひとりの男となり討ち入り、待つのは死だが、それを分かった上で言葉もなく魅せるシーンはとてもパワフルなものでしたから。




映画『47RONIN』サブ2

映画『47RONIN』より ©Universal Pictures



── 今後監督の撮りたい映画やテーマがあれば教えてください。



次回作はSFですね。野心のメタファーとしてのテクノロジーが描かれています。野心というものはどの時点から破壊を及ぼしてしまうのか、テクノロジーは人類の進化という面でも高みに導いてくれるのか、それとも破滅なのか、それがテーマです。

この映画を観て、似ていると感じた日本作品はありますか。




── 『もののけ姫』ですね。



それは嬉しいですね、大好きな作品だから。宮﨑駿監督が本当に引退するとしたらとても寂しいです。『風立ちぬ』はまだ観れていないので、早くロスに帰って観たいと思っています。



(映画『47RONIN』オフィシャル・インタビューより)











カール・リンシュ プロフィール


過去10年以上にわたり、数々のプロジェクトで受賞実績がある。わずか14才で初監督した作品はニューヨークとテルライドの両映画祭で上映された。2001年にD&ADキャンペーン・スクリーン・アワードの新人監督賞を受賞し、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルでその名を取り上げられてから注目が集まる。2009年アウディのCM“Intelligently Combined”でクリオ賞を受賞。翌年、ヨーロッパが舞台のスパイ・ロボット・エピック“The Gift”は、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルおよび、サイクロップ・アドバタイジング・クラフト・フェスティバルのグランプリを受賞。2012年にはメルセデスの“Escape the Map”を監督し、キンセール・シャーク広告賞アニメーション部門を受賞した。近年ではインタラクティブ・ヴァーチャル・モバイル・プラットフォームの仕事にも携わる。











映画『47RONIN』

12月6日(金)、世界最速公開



徳川綱吉が将軍職にあった日本。鎖国で海外と隔絶されていた当時、名君浅野内匠頭を領主とする播州赤穂があり、一方で吉良上野介は、密かに赤穂を併呑する野望を持ち、側室の座に納まっている謎の女、ミヅキと共に、ゆくゆくは徳川家をも滅ぼして天下を取ろうとまで目論んでいた。カイは、少年の頃、どこからとも知れず赤穂に流れてきた異端児で、命さえ危ないところを、領主浅野の温情で助けられ、浅野の娘ミカにも愛されて、郊外の小屋でひとり暮らしを続けながら、大人に育っていた。

しかし、綱吉が赤穂を訪れていたある夜、城内でミヅキに妖術をかけられ我を失った浅野は、寝所の吉良に切りかかって疵を負わせるという事件を起こし、綱吉にその現場を目撃されてしまう。これに怒った綱吉は浅野に切腹を命じ浅野家は取り潰され、一連の出来事を吉良の謀略と訝っていた家老・大石内蔵助始め、家臣達は禄を失い浪人へと身を落とす。赤穂は吉良の領地となり、ミカは1年の喪明けに吉良との婚儀を約束させられる。その場での復讐をと猛り立つ家臣達を、今はその時期ではないと抑えた大石は吉良によって地下牢に押し込められ、家臣達は所払いを食らって四散、そしてカイは、出島のオランダ人に奴隷として売られてしまうのだった……。




製作:ユニバーサル・ピクチャーズ

監督:カール・リンシュ

脚本:クリス・モーガン

出演:キアヌ・リーブス、真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁

スコープ・サイズ/ドルビーSRD/カラー/アメリカ/121分

配給:東宝東和



公式HP:http://47ronin.jp

公式Facebook:https://www.facebook.com/47RONIN.jp

公式Twitter:https://twitter.com/47RONIN_JP



▼映画『47RONIN』予告編


[youtube:dNgu8gJ5IqY]

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