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Channel: webDICE 連載『DICE TALK』
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映画『ソウルガールズ』監督が語る、アボリジニ初の歌姫を描くうえで大切にしたこと

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映画『ソウルガールズ』より © 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.


実在したアボリジニ初の女性ヴォーカル・グループ、サファイアズの活躍を描く映画『ソウルガールズ』が1月11日(土)より公開となる。本国オーストラリアで人気を博した舞台をベースに、1960年代にソウル・ミュージックと出会い、人生を切り開いていく女性たちを捉えている。アボリジニの人たちが受けた差別や、ベトナム戦争での軍の慰問のためのパフォーマンスなど、60~70年代の時代背景とともに、家族の絆そして困難に立ち向かっていく大切さを描いたウェイン・ブレア監督に聞いた。



伝えるべき魂とエネルギー




── この作品との出会いについて、教えてください。監督は俳優として、元となった舞台『Sapphires』に出演されたそうですが、その時にどんなことを感じましたか?



私をこの物語に導いてくれたのは、脚本家・俳優のトニー・ブリッグスでした。この物語は彼の母親が元になっています。トニーが舞台のために書いた芝居に私が出演していたのです。観客はこの芝居の精神を愛し、最後にはいつも席を立って踊っていたので、この物語がすごい作品であることに気づいていました。それが2005年のことで、その頃からトニーと一緒に映画化へ向けて動き始めていました。




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映画『ソウルガールズ』のウェイン・ブレア監督




── 映画化を決めた最大の理由は何ですか?そして、舞台作品を映画化するにあたって舞台から変更した個所はありますか?



オーストラリアや世界中のほとんどの人が今まで聞いたこともないような、他にはない真実の物語だと思ったからです。心や魂が伝わってくるオーストラリアに根付く物語です。それに音楽も最高でした!映画化するにあたり、脚本はいろいろと書き換えましたが、伝えるべき魂とエネルギーの部分についてはほとんど同じです。トニー・ブリッグスはキース・トンプソンと一緒に脚本を仕上げました。トニーは舞台と映画の違いをよく理解していましたね。




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映画『ソウルガールズ』より © 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.




── 映画化するにあたり、参考にした作品はありましたか?



映画の物語のアイデアを得るために、いろいろな作品を見ました。自分が映画を作るうえで大きな手助けとなった作品を1つ挙げるとすれば『ザ・コミットメンツ』でしょうか。



1968年の雰囲気が残る場所を探す



── ファッションやベトナム戦争のシーン等、時代背景や細部にわたるディテールの描き方について教えてください。



戦争シーンのほとんどはオーストラリア国内で撮影し、その後、ベトナムに行ってサイゴンのシーンを撮りました。今はホーチミンと呼ばれているサイゴンの町は戦後大きく変わり、車とバイクが行き交う大都市です。1968年の雰囲気が残る場所を探すのはとても大変でした。現地で協力してくれたベトナム人のクルーは素晴らしかったですね。衣装は我々の衣装デザイナーが大きな市場で60年代の古着を見つけてきました。ベトナムでは作るための材料が何でも手に入るので、美術スタッフはサファイアズが宿泊するホテルのインテリアも作りました。ホテルの撮影場所となったのはSaigon Art & Galleryで、意外にも我々の撮影を快く許可してくれました。




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映画『ソウルガールズ』より © 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.



── 監督が一番こだわったシーンはありますか?また一番苦労したシーンは?



最も苦労したシーンはエンディングへ向かう戦闘のシーンで、たくさんのエキストラや銃、戦車やヘリコプターが必要になりました。大人数を動員したので、確認のため何度もリハーサルを行いました。



── 家族の絆も重要なテーマになっていると思いますが、姉妹や家族について、どんな点を意識されて演出しましたか?



この映画で伝えたいのは家族の大切さです。アボリジニの人々が苦痛を味わった「盗まれた世代」は1869年から1970年代に入るまで続きました。議論を呼んだ政府の方針によってアボリジニの子供たちは自分の家から引き離され、白人の家族や施設へと預けられました。この政策によって家族は引き裂かれてしまったのです。この問題については、映画では“盗まれた子供”のひとりであるケイに焦点を当てて、家族から引き離され白人の文化に馴染んだ後、再びアボリジニの家族と一緒になることの難しさを描いています。ケイはサファイアズとしてベトナムを訪れることで、自分の家族と文化へ戻ることになります。





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映画『ソウルガールズ』より © 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.


目の前に広がる人生の困難に立ち向かっていく大切さ




── 60年代、米国で公民権運動が盛んだった時代の、オーストラリア先住民の人々に対する厳しい差別については、どのようにリサーチをしたのでしょうか?



幸いなことにアメリカの公民権運動については、当時のメディアの詳細な映像が残っていましたので、そうした資料を参考にしました。



── 本作の見どころはやはり4人の主演女優のステージシーンだと思いますが、キャスティングはどのように進めていかれたのですか?また、マネージャー役のクリス・オダウドのキャスティングについても教えてください。



サファイアズの女性メンバーをキャスティングするために、全国規模でオーディションを行いました。オーストラリア全土でオーディションを行いましたが、とても素晴らしかったですね。そして最終的にすでに有名な2人のオーストラリア人パフォーマーをキャスティングしました。ゲイルを演じたデボラ・メイルマンは素晴らしい役者で、最年少のジュリーを演じたジェシカ・マーボイは、オーストラリアで最も有名な女性ミュージシャンのひとりです(オーディション番組「オーストラリアン・アイドル」で発掘された)。そして2つの新しい才能、オーストラリア国立演劇学院を卒業したばかりのミランダ・タプセルとシャリ・セベンズを起用しました。クリスはとにかく面白い人で、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』での演技を見た時に、デイヴの役を演じるのは彼しかいないと思ったんです。




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映画『ソウルガールズ』より © 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.



── 本作で60年代のヒット曲が数々と出てきます。音楽プロデューサーであるブライオン・ジョーンズと話し合いながら楽曲を決めていたそうですが、選曲するにあたってのポイントはあったのですか?



ブライオン・ジョーンズは、経験豊富かつ成功を収めているオーストラリアのプロデューサーで、R&BグループRockmelons結成時のメンバーでもあります。私は彼と一緒に物語の時代に合った音楽を探すことにしました。ブライと話をしているなかで、私がこれまでにストックしてきたお気に入りのソウル・ミュージックの中から掘り起こそうということになったんです。その後、音楽を映画に合わせて入れていくのはとにかく楽しかったですね。



── オーストラリアからは『ムーラン・ルージュ』のニコール・キッドマンや『レ・ミゼラブル』のヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウなど、歌唱力も素晴らしい俳優が数多くいますが、オーストラリアには独特な音楽文化、素養があるのでしょうか?



オーストラリア人はジャンルを問わず音楽が好きなので、役者たちも演技だけではなく、踊りや歌など、様々な分野のトレーニングを受けているからではないかと思います。



── たくさんの人が、この作品を観て、夢を諦めずに頑張る素晴らしさを体感すると思います。



この映画を観た人に感じてほしいのはまさにそれです。自分の夢や未来への希望を捨てずに、目の前に広がる人生の困難に立ち向かっていく大切さを知ってほしいですね。



(オフィシャル・インタビューより)











ウェイン・ブレア プロフィール



俳優・脚本家・監督として活躍。ベルリン国際映画祭のクリスタル・ベア賞を受賞した“The Djarn Djarns”(05)、シドニー映画祭デンディー短編映画賞を受賞した“Black Talk”(02) などの短編映画を監督。シドニーシアターカンパニー(STC)の芸術監督アンドリュー・アプトンは、舞台「ザ・リムーヴァリスト(原題)」の監督としてブレアを起用。舞台監督としては、STCの「ロミオとジュリエット」、「ルーベン・ガスリー(原題)」などがある。また、テレビドラマの演出も多く手掛けている。











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映画『ソウルガールズ』より © 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.


映画『ソウルガールズ』

2014年1月11日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー



1968年、オーストラリア。アボリジニの居住区に暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹と従姉妹のケイは幼い頃より歌が好きで、カントリー音楽を歌いながらスター歌手になることを夢見ていた。だが根強く残る差別から、コンテストに出場してもあからさまに落選させられる。そんな状況から抜け出したいと思っていた矢先、自称ミュージシャンでソウル狂いのデイヴと出会いソウル・ミュージックを叩きこまれることになる。



監督:ウェイン・ブレア

出演:クリス・オダウド、デボラ・メイルマン、ジェシカ・マボーイ、ミランダ・タプセル、シャリ・セベンス

脚本:キース・トンプソン、トニー・ブリッグス

撮影監督:ワーウィック・ソーントン

編集 :ダニー・クーパー

音楽プロデューサー:ブライオン・ジョーンズ

作曲:チェザリー・スクビセフスキー

製作:ローズマリー・ブライト、カイリー・デュ・フレズネ

原作:トニー・ブリッグス 舞台『ザ・サファイアズ』

原題:THE SAPPHIRES

配給:ポニーキャニオン
 
後援:オーストラリア大使館

2012年/オーストラリア/98分/カラー/英語/シネマスコープ



公式サイト:http://soulgirls.jp/

公式Facebook:https://www.facebook.com/soulgirls

公式Twitter:https://twitter.com/soulgirlsmovie






▼映画『ソウルガールズ』予告編



[youtube:rnq0fRAybbw]

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